明治末に建てられた、旧東京帝室博物館を前身とする表慶館は、鹿鳴館の華やぎを彷彿とさせる青銅色のドーム屋根が美しいが、残念ながら現在休館中(内部はこちらのブログから少しお借りして)。多少の障害物はあるが、たくさんの馬車が乗りつけたであろう、その美麗なファサードを眺めることはできる。
ニューヨーク近代美術館新館と同じ建築家による、法隆寺宝物館は、その前庭からして、人を静寂な気分にさせる造り。伝統的な枯山水の精神を逆発想にして、水とその表面張力による直線を使って表現したものと感じた。本館の重厚さも好みだが、この現代的な外観、内装や展示方法の細部まで一貫した美意識に貫かれた設計がなんといっても記憶に残る(ある方のブログに詳しくあったので、お借りして張らせて頂きます)。モダンながら和のエッセンス、日本的な細い縦格子のモチーフや随所に配された木の質感に、見えない霧を浴びるような錯覚にひたる。
冒頭の写真は、本館にある、ステンドグラス。本館は、建築全体の趣きも和洋のテイストを取り込んでいて一見の価値あり、しかも内装が随所に面白く、特にこのステンドグラスの色合い、伝統的な美感によるものといえるだろう。欧州の日照時間の少ない暗い冬には、華やかな彩りのステンドグラスが映える、しかし、日本の晴天の多い冬、年間を通して日照時間の長い土地柄には、くすんだ色のステンドグラスも何か心に沁みるものがある。現在、2階で行われている「日本美術の流れ」展もぜひ見るべき。一日かけないと見尽くせないほど充実した展示。しかも空いている。
(写真は全て館内職員に確認の上、撮影可能箇所のみで写しています。)
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